【開催レポート】Global Week#1 「世界地図を拡げて考えるこれからの自分と世界」

2019.07.23

7月22日(月)14時~16時まで、本校校舎階段教室にて、立命館アジア太平洋大学(APU)より伊藤健志氏をお迎えし、Global Week #1「世界地図を拡げて考えるこれからの自分と世界」を開催しました。

まず最初に、ハンス・ロスリング著「Factfulness」から6つの質問を用いて、世界の現状についてどのように参加者が思い込みで考えてしまっているかということを問いました。世界の諸問題は至る所でニュースに取り上げられるので、気付けば物事をネガティブに考えてしまうことがあります。「今日も〇〇は平和でした」なんてニュースが流れないから、勝手にそんなネガティブな考え方が染みついているんだ、との言葉に参加者もはっとさせられました。

続いて「日本は世界の人気国か?」ということを訪日外国人・労働者の推移のグラフを見ながら「コンビニのアルバイトを日本人はなぜしないのか」「なぜ工事現場で日本人アルバイトは多くないのか」と問われ、それが長期的に与える影響について考えました。観光目的とビジネス目的の訪日外国人の推移のグラフからは、観光客が増えることは一時的な利益にしか繋がらない、という指摘に会場は雰囲気が変わります。労働者数の推移のグラフでは、「資格外活動」「技能実習」の割合が増えている点に注目し、実は労働者のうち、留学生や技能実習生(いずれは母国に戻る)が半分ほどを占めている現状に、「本当にこれでいいの?」と会場に問いました。データを基に考える日本と世界の在り方は、これまで漠然と日本と世界を考えていた参加者の目を離しません。

さらにIMDによる世界のビジネス競争力ランキングでは、日本は1988年から92年まではずっとトップだったのに、2017年の資料では総合順位は31位になり、その中でも外国人高度人材への魅力は「アジア最下位の51位」、上級管理職レベルの国際経験の十分さは「調査全体の最下位63位」となっていることを示し、データを見る、ということがどういうことなのかを考えさせられました。

次々に様々な世界比較のデータが飛び込んできます。世界の中でマスメディアを信じる割合、日本の学校の教室での多様性の低さ、GDPの推移から考える国民の活力の違い、世界の企業の時価総額推移のグラフ、BBC Worldが世界に向けて発信した日本のニュース、PISAの学力調査、世界各国の若者の意識調査、、、。

途中、APUの大学生がなぜ日本で学ぶことを選んだのか、なぜAPUだったのか、という紹介から、世界中には生まれた国を離れて学ぶ学生が450万人もいることなどが紹介され、本当に海外に行きたいなら、数学をしっかりやること、そして水泳の例を出しながら英語を学ぶには「本場に飛び込むことが大事」とお話下さいました。

最後に、エリン・メイヤー著「異文化理解力」から、ローコンテクストとハイコンテクストの紹介がありました。これは良いコミュニケーションや議論といっても、それはその国の文化がローコンテクストなのか、ハイコンテクストなのかによって大きく異なる、ということです。これも頭でわかっていても実際に体験してみないと結局のところ、実践することはできません。こんなチャンスがAPUにはいくらでもある、ということを世界から生徒が集まるAPUでの実際の例を挙げながら紹介してくださいました。

「国と国との議論ができなくても、若者のみなさんだからこそ出来る、新しい人と人との付き合い方があるはずです。」とエールを頂き、あっという間に1時間30分の講演会が終了しました。

終了後、生徒からは英語力を伸ばすにはどうすればいいか、普段から批判的思考力を育てるにはどうすればいいか、国際的な大学に進学したい場合に重視すべきなのは人数ではなくて国数なのか、などの質問があり、一つ一つに丁寧にお答えくださいました。

参加者のアンケートからは「データをただ見るのではなくしっかりと考えることの重要性を学んだ」「話がおもしろくて短く感じた」「少しだけ世界の視点で考えることが出来た気がした」「2時間もあるから眠くなるかと思ったけど、まったくそんなことなくてすごく面白くて参加してよかった」「日本を世界から見るとこんなにも違うのかと驚いた」「日本の尺度で世界を見るのではなく世界から日本や世界を見なければいけないことがわかった。モチベーションが上がった」「視野を広くするのも大事だけど視点を変えるのが大切だと思った」「クラス全員に聞いてほしかった」「今までの価値観が壊れていく感じで驚きの連続だった」など、とにかく有意義な時間を過ごせたことが伝わってきました。