麗澤について

教育理念・メッセージ

こころを育てる「知徳一体」の教育

麗澤の学び。それは学力を高め、知識を蓄え、体力を鍛えることだけが目的ではありません。創立者・廣池千九郎は、「知識を活かすものは品性と道徳性である」という知徳一体の理念を遺しました。身につけた力を、どのように他者に、社会に活かしていくか。「こころ」が伴った知識や技術を、次代のために麗澤は大切にしています。

スクールポリシー(教育理念)

建学の精神:麗澤中学・高等学校は法学博士廣池千九郎が創建した「人間形成の学」と言われている「※モラロジー」に基づく知徳一体の教育を基本理念としています。
何よりも徳育、つまり人間の品性(高い人格)をつくることに重点をおき、併せて知育、体育を行っていこうとするもので、国や社会の発展と人々の安心・平和・幸福の表現に寄与できる人を育てることをめざしています。
※「モラロジー / Moralogy」とは、モラル・サイエンス(Moral Science / 道徳科学)のことです。道徳を科学的に研究し、人間が普遍的に行うべき道徳原理を明らかにし、道徳の実践を通して世界の平和と人類の幸福をめざす学問です。

知徳一体

麗澤教育は、創立者・廣池千九郎が提唱した道徳科学「モラロジー」に基づく知徳一体の教育を基本理念とし、心の力(感謝の心・思いやりの心・自立の心)を鍛えることを最も大切にしています。

知恩・感恩・報恩

恩を知り、恩を感じ、恩に報いる。「恩」の字は「因」を知る「心」と書きます。自分が豊かな生活を送ることができてきたのは、周囲の人・先人・自然のおかげだという感謝の心を忘れず、その恩に報いることをめざす人材を育てます。

国際的日本人

麗澤は、1935(昭和10)年の創立当初から、国際社会で活躍する日本人の育成を掲げてきました。日本を知り、日本人としての自分を見つめ、世界の中の日本のあるべき方向性を考えて次代の国際社会に貢献できる人材を育成します。

アドミッション・ポリシー(めざす人間像についての方針)

自然の恵みや、大小もろもろの恩人のおかげを受けて生活しています。これらの恩に感謝し、恩に報いる生活をすることが、人間として大切なことです。これを「大義名分」のと言い、麗澤教育の第一の目標です。
また、生徒が教員より立派になるような教育をすることを「※出藍の教育」と言います。そのためには教員は全力をあげて生徒を指導し、これに生徒が応え、自発的に全力を尽くして自修し、歳月を重ねて教員よりすぐれた人物になるように務めます。
※「青は藍より出でて、藍より青し」(荀子 / 勤学)から出た言葉で、弟子が師より勝ること。

・「麗澤教育がめざす人間像」
大きな志をもって真理を探究し、高い品性と深い英知を備えた人物
自然の恵みと先人の恩恵に感謝し、万物を慈しみ育てる心を有する人物
自ら進んで義務と責任を果たし、国際社会に貢献できる人物

・「麗澤教育がめざす生徒像 / 寮生」
「感謝の心、思いやりの心、自立の心」を育むことにあります。「感謝の心」とは、自然からの恵みや先人・周囲の人々の苦労に感謝できる心。「思いやりの心」とは、相手の立場に立って考え、人の喜びや悲しみ、痛みを共感できる心。「自立の心」とは、自らの可能性を伸ばし、夢の実現に向けて使命感、責任感を持って主体的に生きる心。この3つの心を育てることを通じて、知力・道徳心・体力のバランスのとれた生徒となることをめざします。
麗澤の寮教育では、単なる寄宿舎生活とは異なり、「自我没却神意実現之自治制」を寮生の信条として、寮運営の面でも個人的な生活行動の面でも、自分中心の考えを排して、自主的に生活を創意し自治の心を育みます。

カリキュラム・ポリシー(教育課程についての方針)

・教科等横断的な視点に立ち、道徳、教科を中心に「総合的な探究の時間」においては、プロジェクト型学習(学習者中心、内容重視の考え方に基づく)を基本に、ディスカッション、リサーチ、プレゼンテーションの仕方を技法として習得しながら、主体的に課題を発見し、深い思考・観察を行い、情報を収集してわかりやすくまとめ、仲間と問題を解決する力を育てていきます。
・外国語を学ぶことや海外との充実した交流プログラムを通して、「グローバル社会の一員」として地球は一つであることの自覚をもち、多様な言語や文化的な背景をもつ人々が共生し協働できる社会づくりに貢献できる力を育てていきます。
・麗澤大学やその他の大学やモラロジー教育財団(高齢者向け住宅麗しの杜等)、地域や企業との連携、フィールドワークやボランティア活動など社会に開かれた教育課程を通して、複眼的思考や視点・多文化的資質の力を育てていきます。
・AIをはじめとするテクノロジーが交通、福祉、インフラ、教育などの生活基盤となっている社会において求められる「イノベーション人材の3要素」の取得にあたって、生徒が主体的に考えて課題設定する力、また次世代のテクノロジーを活用できる力、そして半径50㎝の課題解決を重ねて社会を良くするアクションを実現できる力を育てていきます。
・主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、授業を再構成しながら、各教科科目に共通した力(「言語技術」(学校特設科目)、情報活用(ICT)、探究活動、課題研究)を育成するとともに、生徒の個別最適な学びを継続できる働きかけをしていきます。

グラデュエーション・ポリシー(資質や能力についての方針)

人類が地球的規模の環境問題、民族や宗教の対立など、これまでにない危機に直面するなかで、利己心を克服し人間性を高める道徳心をもって、主体的に問い、見通し、振り返りなどを行うとともに、先人、仲間、教職員、地域の人と対話しながら、知識をものごとに関連付けた深い理解を心がけ、自分よし、相手よし、第三者よしの「三方よし」の社会を実現するための未来につなぐ次の3つの柱の実現に取り組みます。

「志をつなぐ」
「道徳で人と社会を幸せに」という創立者の志に共感する生徒と地域社会をつなぎ、教育や経済、福祉をはじめとしたさまざまな領域の課題解決に連携して取り組みます。

「世代をつなぐ」
祖先を敬いつつ、家族との生活を通して、世代を重ねて道徳性を育む「累代教育」を推進するとともに、地域社会や学校社会などにおいても、先人・先輩を敬うとともに世代間の心をつなぎます。

「社会をつなぐ」
地域社会や国家の一員としての自覚を持ち、「互敬」と「三方よし」の精神で世の中のために貢献できる人材となるとともに、さまざまな国や地域の人々の心をつなぎ、共生と調和をめざします。

心を育み、知性を磨き、「心の力」を伸ばすことで次代を担う人材を育てます

教育の究極の目的は、「恩に報いることのできる人間になる」ことに尽きると考えています。人はひとりで誕生し、生きられるわけではなく、親に慈しまれ見守られながら成長していきます。そしてその家族を護っているのは国家・社会です。私たちはこれまで恵まれた豊かな環境に暮らしてきました。しかしここに至るまでには、先人たちの言い知れぬ苦労や努力がありました。普段使っている辞書ひとつをとっても、たった一語を調べるのに要した手間は膨大であり、教室で学ぶ学問は、長い歴史の中で気の遠くなるような時間をかけて形成されてきたものです。
私たちはそうした「恩」を子どもたちにまず知ってほしいと思います。次に感謝の心をもって行動に反映させるためには恩を実感すること。そしてやがてその恩を、今度は社会にお返しすることが人として成すべきことです。
麗澤では「知る」「感じる」「報いる」── この3つの段階をきちんと考えられるような教育を何よりも大切にしています。しっかり思考し理解することにより、自分を世の中に役立てる道は明確に描き出されます。
家族の恩、国の恩、先人たちの精神的な遺産や伝統に気づき大切にすることを、学校教育のあらゆる場面で子どもたちに伝え、「全てに感謝できる人」「親孝行できる人」「社会に貢献できる人」として育んでいきます。

校長櫻井 讓