【中学3年生】早稲田大学文学部冬木ひろみ教授講話

2022.07.16

 7月14日(木)中学3年生の自分プロジェクトの一環として、『今を生きるシェイクスピア』と題して、早稲田大学文学部英文学コース冬木ひろみ教授に講話をしていただきました。3年生は2月のイギリス研修旅行で、シェイクスピアの生家のあるストラットフォード・アポン・エイヴォンを訪問する予定です。少しずつイギリスの歴史や文化の調べ学習を進めている3年生にとって、とても実りある一時間となりました。

 実は『ロミオとジュリエット』での悲劇のもととなる手紙がロミオに届かなかったのは、ペストによる都市封鎖が影響しているという興味深いエピソードから、遠い時代のシェイクスピアをコロナ禍の現代にひきつけてお話してくださいました。物語そのものにも普遍性があり、決して遠い昔の物語ではなく、現代に生きる物語であることが示されました。

 また、照明装置のなかった当時の屋外円形劇場の様子を映像や写真をもとに紹介してくださり、現代の演劇に比べていかに「台詞」の重要度が高かったかということを説得力をもって教えてくださいました。「この世は全て舞台、人間はみな役者」(『お気に召すまま』)「きれいはきたない、きたないはきれい」(『マクベス』)など、現代のわたしたちの心にも響く言葉を紹介されるとともに、主役の王侯貴族だけでなく、端役である庶民が真理を突くようなセリフを言うところもシェイクスピア劇の奥深さであるということを伝えてくださいました。

 生徒からの、「なぜロミオとジュリエットが引き裂かれた原因をペストと設定したのでしょうか」という質問には、「見えないものが人々を蝕んでいく恐怖や、偶然によって引き裂かれる運命を表現したのではないかと思います」と永寧に回答してくださいました。

シェイクスピアについてほとんど知らない生徒達にとって、シェイクスピアを身近に感じる機会となりました。「心のポケットにシェイクスピアを」という冬木教授のお言葉がありましたが、これをきっかけにシェイクスピア、そしてイギリスの文化について理解を深め、ていきたいと思います。冬木教授、ありがとうございました。