【高校】春期講座にて生物・生物基礎の特別講座を開催しました。

2024.03.21

3/13(水)に公益財団法人かずさ DNA 研究所ご協力の下、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)実験の実験講座を行いました。

本実験は

・DNAの研究において重要なPCR法について学び、DNAに対する知識、理解を深める。

・DNAという単語は知っていても、実験器具や実験方法について漠然とした知識である生徒や将来生物の分野に携わりたい生徒への実践的な教育を行うことで、将来への意識と生命科学のさらなる知識を定着させることができる。

という意義で生徒、保護者ともに同意の上、春期講座の授業内で開催されました。

 

今回は実験教材貸出事業である『DNA実験宅配便~謎のお肉のDNA鑑定~』という実験教材を用いました。

授業などで習ったDNAに関する実験は今回初めて体験する生徒が多く、どのような実験を行うのか不安に思う生徒や逆に実験を楽しみに期待している生徒もいる中、実験講座では、知識の再確認から始まりました。

 

今回実験講座に参加した生徒は、実際の研究で用いられるマイクロピペットやマイクロチューブに触れ、緊張しながらも慎重に作業を行いながら、繊細に作業を進めたり、ごく少量を正確に扱ったりすることが大切な「分子の世界」を体験していました。生徒の中には映像作品やフィクションで目にするような光景と比較して「今すごく理系の人間らしい行動をしている気がします!」と緊張しながらも楽しげに作業をしている姿もあり、とても印象的でした。

 

作業の後はサーマルサイクラーによるDNAの増幅作業が入るため、1時間ほど講義、休憩の時間がとられました。現在どのようなメカニズムで増幅が行われているか、増幅後どのように検知、観測を行うかを講義しました。

説明の後にサーマルサイクラーに集まった生徒たちは数秒の間にDNAの増幅が行われている様子を確認し、酵素の反応速度の速さやそれを利用した増幅手順に感心しているようでした。

 

増幅作業が終了したのち、ゲル電気泳動装置による電気泳動を体験しました。泳動装置内にある寒天で構成されたゲル内に、増幅したDNAをマイクロピペットで注入する作業を全員で行いましたが、慣れないマイクロピペットに苦戦しながら班員たちと協力して無事全員注入を行い、電気泳動開始まで問題なく作業することができました。生徒は注入が終わると嬉しそうに報告し、泳動の様子を確認していました。

 

最後に青色光でDNAに結び付いた色素を光らせるトランスイルミネーターにて自分たちが増幅したDNAが何の動物のDNAであったかを確認しました。実際に蛍光するDNAのバンドを確認し、どの生物かを照らし合わせることで実験の成否を知り、DNAの実験の流れを知識だけでなく体験で知ることができました。中にはバンドが出てこず、落ち込みながらも問題はどこであったか、原因はなんだったかを検証しあうことで失敗が起きた時も論理的に検証を行っていました。実際にバンドが出た班もバンドが何を表すのか真剣に討議していました。

 

生徒からは、「漠然としていた生命科学の実験の楽しさを感じた。」という感想が多く、目で見ている世界だけではない、ミクロな物質の複雑な性状を実践的に知ることのできる大変意義のある実験となりました。

今後も、生命を扱う生物という分野において、その責任、意識の重要さと知識を探究し、学ぶ精神を養うため、実のある実験を提供していきたいと考えています。

 

今回の実験講座にご協力いただきました、かずさDNA研究所の皆様、誠にありがとうございました。