【中学2年生】特別講話 義肢装具学専攻主任 坂井一浩教授

2022.02.17

 中学 2 年生はキャリア教育の一つとして「将来の夢と学び」をテーマに、どうしたら夢を持つことができ るのか、また夢の実現にむけてどのような知識(学び)が必要であるかについて探究学習を実施していま す。
 まずは夢を見つける 1 つの参考になればと思い、弱者を助けることのできる職業(福祉)への興味・関心 に繋げたいと考え、「不可能を可能にする義肢装具士」をテーマに、人間総合科学大学の坂井一浩(さかい  かずひろ)教授にご講演いただきました。関東に 1 つしかない義肢装具士の養成大学で専攻主任を務める坂 井教授の貴重な講演を聞くことで、生徒たちの福祉についての理解は深まり、また関心を高めることができ ました。  
 坂井先生はお父様の影響で義肢装具士を志し、青年海外協力隊としてのタイでの活動を経て、日本国内でも義肢装具士としての経験を積み、現在は人間総合科学大学で教鞭を執り、後進の育成に尽力されています。大学では実際に、障害がある方をお招きし、義肢や装具のモデルになってもらいながら臨床的な学びが展開されているそうです。
 今日はそんな坂井先生の経験を活かし、義肢装具士の仕事についてわかりやすく説明してくださいました。義肢や装具の役割のひとつは、日常生活動作をサポートすることです。両足切断をした方が、義足を履くところから歩き出すところまでの映像が流れると、生徒達はその動作の滑らかさに感嘆の声を上げました。また、生徒達は実際に義手や義足をさわらせていただき、その精巧なつくりを興味深げに観察していました。義肢や装具のもうひとつの大切な役割は、患者さんや障がいを持つかたのQOLを上げることです。パラリンピックで活躍する選手を例に上げ、大好きなことが出来る喜びを味わい、人生を豊かにする手助けができるのが義肢装具士の仕事であるということを教えていただきました。
 患者さんや障がいを持つ方の置かれた状況やニーズは様々です。個別のニーズを的確にとらえ、それぞれにあった義肢装具をデザインし、提供することが、義肢装具士に求められる役割であり、やりがいなのだということがひしひしと伝わってくる講話でした。
 講話の後は、生徒からの質問に答えていただきました。実際に手にとって触った義足の足首が動かないことに注目し(お持ちいただいた義足には足首部分が動くものと動かないものがありました)、「足首が動かなくても歩けるのですか?」という質問がありました。足首部分が動かなくても歩くことに支障がないそうですが、ハイヒールを履きたい、畳で茶道をしたい、という方のために、足首が動くものを作ることもあるそうです。実際に目で見て触る機会を頂けたからこそ出た質問でした。
 酒井先生、貴重なお話をありがとうございました。

<生徒の感想(抜粋)>
患者さんのニーズによって義肢にも色々な種類があることに驚きました。

・人の人生を変えられる凄い仕事だと思った。

・本物の義肢を触ってみて、本物の脚を忠実に再現していてすごいなと思った。

動画で歩いている人が足を失っていないかのように違和感なく歩いていて驚きました。

・精神的にも物理的にも、文字通り「立ち上がる」ことを助ける職業なんだとわかりました。

・医療に興味があったので、義肢装具について知ることが出来て良かったです。

・私も誰かのお手伝いができる仕事をしたいと改めて思いました。